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July 29, 2009

講義やら何やら@20090728_0729

Discover App(このように使っておりました)のアップデートで DCIM フォルダへのアクセスが不可能になったことに衝撃を受ける7月下旬(参考記事)。(DCIM フォルダには iStrage でアクセスできることが判明。ヴューアも遜色なし。)

@20090727月 ちょっとしたトラブルで某同僚にご迷惑を。すいません。

@20090728火
○2(3・4)限 非常勤先で政治学Iの復習テスト。100人を超えていたので補助監督の先生が控えていて下さったのですが、問題は予告していたし、持ち込みもすべて可なので、問題用紙の配布だけ手伝って頂き、「あとは一人でできますから」と。

試験範囲はテキストと三本の映画をもとに作成した七題の論述問題(500~600字)から二題を選んで解答するというもの。毎回の小レポート(約400字×14回)も合わせると、この授業だけで6600字(400字原稿用紙で16.5枚)ぐらいは文章を書いたことに。考えをまとめて文章にするということに少しは慣れてもらえたのではないかと。

解答の分布
1(利益集団)43人
2(冷戦後の選挙)17人
3(マスメディアと政治)77人
4(戦後日本外交)24人
5(オール・ザ・キングスメン)12人
6(クライマーズ・ハイ)13人
7(小説吉田学校)18人

「……について簡潔に説明し、自由に論じなさい」という設問に最も答えやすかったのは3番だったということだろうか。

ここでもアンケート。昨年度は参議院選(「虎退治」)、今年度は衆議院選で、政治への関心が高まっているのか「政治に関心を持てるようになりました」という好意的な評価が幾つも。そんな、政治に関心を持てるような話を……できていたのであればありがたいのですが、今年度のぼくの政治学Iでの話をまとめるとすれば、

学生:せんせい、『小説 吉田学校』の半ばで麻生和子(夏目雅子)が、実父の吉田茂に「大嫌い」っていう場面、あれ感動的ですよねえ。
教員:うん、あの場面は、それに続くベタベタな心象風景(吉田茂役の森繁久彌が風に吹かれながら厳しい表情で浜辺をひとりでさまよい歩く)を含め、非常に重要だね。あそこで和子は次のように語っている。
あなたの言うとおり、父は尊敬に足る政治家だわ。……特に講和までの父は日本のために燃えていました。私、父を父としてでなく一人の政治家、一人の男として見ていることに気づいたの。吉田茂は誰もが成し遂げられなかった講和独立を成し遂げた。このことだけは、どんなに吉田嫌いの人でも褒めたわ。寝食を忘れて講和の準備に打ち込んでいる父の姿は美しかった。でも今の吉田茂は違う。今の父は政権への欲望だけで総理のイスにしがみついている。[日本の将来……沖縄と北方の領土問題、韓国や台湾、中共との国交問題]確かにそれもあるでしょう。でも講和以外のこれからのことは父でなくともできる。……吉田茂は総理のイスを手放したくなくなった、それだけだわ。だから鳩山先生との約束も友情も反故にした。今の父は……私、大嫌い!
なんだか不自然だと思わないか。
学生:確かに「説明しよう」(cv故・富山敬)って感じですね。あるいはヤムチャ的というか……。
教員:サスペンス系の二時間ドラマでは、はじまって一時間ぐらいたったところで必ず主人公がパートナーと「ここで事件をはじめから振り返ってみよう。殺された○×氏は有名な陶芸家で……」とそれまでの一時間を簡潔にまとめて説明するというお約束がある。これは途中から観てるひととか、なんとなくぼーっとしてそれまでの流れを理解できなかったひとのためのお約束なのだけど、この作品もそのお約束を踏襲しているわけだ。なんだかたくさんの登場人物がでてきて、中身があまり理解できなかったひとも、この和子のセリフを想い出すだけで、何か全体が理解できたような気になる。それがこの作品の仕様の核心なのだよ。どうだ、きみだって細かいこと覚えてないだろ、どうせ。
学生:失礼な。ちゃんと観ましたから、大体は覚えてますよ。
教員:じゃあ、須永一雄役の石田純一が靴下をはいていたかどうか、わかるか?
学生:それって重要なことなんでしょうか?
というようなものだったと思うのですが……。

終了後、本務校で六件ほどの書類をギザーっと。

帰宅後、優秀な若手政治学者の某君の指導に従って『ぽにぽにだっしゅ』(公式)と『夏のあらし!』(公式)を一話ずつ観る。

……すいません、まだぼくには十年早かったようです。新しいものはなかなかフォローできておりません。『忘念のザムド』(公式)には(予想通り)感動しましたし、『夏目友人帳』(公式)も再放送を喜んで観ていたのですが……。

@20090729水 会議二つと学部の教育フォーラム。

問題はおそらく、承認されたのが「設置」なのか「設置に向けて前向きに検討を始めること」なのかということだったと思うのですが……。「設置」について白紙委任がなされたわけではないので、出るべくして出た異論のような気もしたのですが、まあぼくの気のせいでしょう、きっと。

フォーラムで出た話をよく考えてみると、たとえば今年度は、昼向けには前期に三科目、後期に一科目やっているので、これらをすべて履修し、ぼくのゼミを二年間受講すると2×4+4×2=16単位分を取得できるわけですが、もしもあと二科目追加で担当したとすると、ぼくの担当する科目だけで20単位を取得できるようになるわけで、卒業単位のうちの20単位がぼく系の科目というのは……。まあ、留年率の抑制に貢献できるのは嬉しいのですが。

ケバブサンドの屋台が出ていたので試しに購入。マヨネーズ大杉で牛肉の味がよくわからないというか。

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July 25, 2009

講義と演習@20090722

映画版『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(amazon)を観てひりひりする7月下旬。永作博美がすばらしい。たぶん舞台の方がずっといいのだろうけど。(本谷有希子は『モーニング』連載中の「かみにえともじ」もよい。)

@20090721火
○2限 政治学I 教科書第12章 グローバリゼーション。

テキストに使っている『はじめて出会う政治学』の国際政治編(第10~12章)は非常に使い易い作りになっていて、たとえば12章だと、国際的な相互依存やトランスナショナルな交流の深まりが国際紛争を抑制するか、それとも新たな紛争の原因となるかという二つの考え方が対比されているので(231-236頁)「あなたはどっちだと思いますか、またそう考える理由は何ですか」という論述問題をさくっと作ってしまえる(これは良問だと思う)。

11章も用語説明問題が非常に作りやすいというか、日米経済交渉においてアメリカが用いた「構造協議アプローチ」と「管理貿易アプローチ」が対比的に説明されているので(207-215頁)、両者の違いについて説明しなさいという問題を出しておけば、この章のほぼ全体についての理解を確かめることができる。

ただ、10章についていえば、旧版では冷戦終結後の日本の国際貢献について小沢一郎の「普通の国」論と武村正義の「小さくともキラリと光る国」論が対比されていたので、「あなたはどっち、理由は何」的な出題ができたのだが、第三版では親米路線と国連中心主義の対比について僅かな記述があるだけなので、もうちょっと別の方針を考えなければならなくなってしまった。まあ、吉田ドクトリンについての詳細な記述があるので(184-188頁)、吉田ドクトリンについての説明を求める問題を出せばいいわけだし、今年度から吉田学校をみせたりもしているので、使い易さが減ったわけではないのだが。

映像資料を用いたせいか、今年度はテキストの半分ぐらいしか使わなかった。10年とか20年とか後に、政治について考える際の手助けとなるのは、映像資料を用いた講義なのだろうか、それともひたすらテキストを丁寧に説明するタイプの講義なのだろうか。

いずれにしてもこの科目も来週のテストを残すのみ。まあ、採点と成績処理という作業は残っているわけですが。

重要な用語とか論点を、対比したり、背景などの肉付けをしながら議論の中で説明させる問題とか、複数の見解を対比して自分なりの考えを述べさせる問題を教員が作りやすいということは、よい教科書の条件であるように思う。

昔は何となく、教科書というのは教員の講義と組み合わせることではじめて効力を発揮するものだと考えていたのですが(問題だけ書いてあって、解説も解答も付されていない予備校のテキストのようなもの)、重要なことはすべて書いてあって、あとはそこで述べられているいくつかのポイントを強い印象をもって学生に伝え、考えさせるという作業がやりやすい教科書の方がよい教科書だと思うようになった。教員にとって前者は知識量が勝負ということになるだろうし、後者は話芸が勝負ということになるだろう。できれば話芸だけで済ませたいとか、そういうけしからん人間に堕落してしまったということだろうか。

まあ、知識よりも話芸が重要性を持つようになった背景には、カリキュラムの変化ということがあるような気もするのですが(たとえば西洋史の教員は、かつては自分の研究対象についてディープな話をしてればよかったわけですが、たぶん近年は、なにやら概論的なことを現代的な問題と絡めて話さないといけなくなってるのではないでしょうか)、愚痴になりそうですなあ、この話題。

@20090722水 定例SM。京都方面から訃報があったらしく同僚数名が。面識のない、御著書しか存じ上げない方ですが、まことに残念なことです。ご冥福をお祈りします。

@某日 インターンシップの挨拶状など。どの大学もインターンシップには熱心らしく、パイの取り合いになっているらしい。背景のひとつはこういうこと内田樹のコメント)なんだろうか……。

@某日 某件で呼び出される。がんばれ、俺。まけるな、俺。

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July 18, 2009

講義と演習@20090714_0716

吉田戦車も絶賛の松屋の新製品フレッシュトマトカレーを食べて頑張る七月中旬(ちょっと辛いので、冷奴とか温泉卵を入れて食べるという裏技も)。

@20090714火
○2限 政治学I 吉田学校後半。「若山富三郎の凄みに圧倒されて気づかないかもしれませんが、吉田と鳩山の政策上の対立とか、官僚派と党人派の対立にも目を向けてくださいよ」というような説明を。詳細に解説した甲斐あって、あまり混乱なく理解してもらえた模様。

○4限 西洋政治思想史特殊講義 復習テスト。授業評価アンケートとか自前のアンケートとかも。今年度は『自由論』よりも『父と子』の方が評判がよかった模様。

○5限 ゼミ 史劇班。コリオレイナスとジュリアス・シーザー。三回目になると流石に非常にできのよいレポートが幾つか。

後期のゼミで何を読もうかと打診。『1Q84』とかどうだろうかと提案したところ反応は半々。「やっぱり西洋っぽいことやりたいです」「シェイクスピアの続きとかできないでしょうか」「明治期におけるロシア思想の受容に関心があります」等々、希望は様々。

期末試験後に、OBOGにも声をかけて一席設けてはどうかと一応提案。

@20090715水
○5限(9・10限) 政治学Iの補講 官僚。「では本日もまず冒頭のイラストの解説から……」とテキスト160頁のイラストに目をやると……似てねー(持っている方は『はじめて出会う』第3版160頁を参照)。

イレギュラーな時間帯の補講でしたが、ずいぶん出席率がよくてびっくり。まじめな学生が多いのですね(というか、さぼる学生が年々減っているような気が……)。

@20090716木
○2限 政治思想史入門 復習テスト ここでも全学の授業評価アンケートと自前のアンケートを。感想はさまざま。

抽選でこの思想史に割り振られて、ハズレだと思ってましたが、それなりに勉強になりました。(某学部、一回生)
上から目線キター
幕末の回で「高杉晋作と、『銀魂』の高杉晋助を間違えないように」とおっしゃっていましたが、間違える香具師はいないと思います。(某学部、一回生)
でも、あれ当然意識してやってるわけですよね。『銀魂』とか高橋ツトムの『SIDOOH』とか読んで妄想膨らますのって、結構大事かもしれませんよ。

○3限 日本政治思想史 復習テスト 同じくアンケート。

思っていたよりは、ためになりました。(法学部、ニ回生)
こちらでもなんだか上から目線の回答が多かったです。「ほかにどんな時代のどんな思想を扱うべきだと思いますか」的な問いには……
もっと西洋の思想家を扱うべきです。(法学部、三回生)
「日本政治思想史」のアンケートに毎年繰り返されるこの回答は……恒例というか「お約束」なのか?

○7限 政治学演習II 後期に何をやるか相談。田中角栄について何か調べたいという話に。久しぶりにやってきた某くんから編集に関わっているというおされなフリーマガジンをもらう。かなり所得の高い層向けの雑誌のようですが……。

採点とか試験監督とかはまだ残ってますが、本務校の前期の講義と演習はこれで終わり。非常勤は月末まで。

「任侠ヘルパー」(公式)、いろんな場で楽しくおしゃべりしたくなるような作品ではないですが、ええ感じのドラマですなあ。彦一(草彅剛)にも、なんだかひりひりするようなかっこよさがあるし。

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July 11, 2009

講義と演習@20090707_0709

戦後思想を考える上で不可欠の存在(てゆーか、実はそれほど重要な歌詞は書いてないような気も……)吉田拓郎の体調不良のニュースを耳にしながら、「そういえば中島みゆきとの「永遠の嘘をついてくれ」(youtube)は非常によかったなあ」とか思うともう関心は中島みゆきの方に向かっていて、甲斐よしひろとの「港からやってきた女」(youtube)とか加藤登紀子との「この空を飛べたら」(youtube)は忘れられないし、神話化されているオールナイト・ニッポン以前の毎日放送「ミュージック・マガジン」のテーマ曲だった「夜風の中から」(youtube)とか最終回の最後にかかった「ほうせんか」(youtube)はいかにも中島みゆきという感じだし、あまりにも有名な「時代」(youtube)とかミュージック・マガジンの裏番組(「金」曜日「八」時からの一時間だったと思う)で使われた「世情」(youtube)とか、「ファイト」(youtube)とか「狼になりたい」(youtube)も悪くないのだけれど、季節的には、そろそろ「帰省」(youtube)とか「まつりばやし」(youtube)が聴きたくなる頃とはいえ、「店の名はライフ」(youtube)とか「遍路」(youtube)もいいよなあと時間を潰してしまう七月上旬。(中二男子の頃に聴いて以来、長らく遠ざかっていたような気もするが、いずれアルバムを大人買いしてちゃんと全曲を通しで聴いてみたい。でも、中二男子時代には、似たような歌詞でも、たしか「ホームにて」(youtube)よりも、モッズの「トゥー・パンクス」(youtube 肝心の部分に入る前に終わってますが……)の方がかっこいいとか思ってたという黒歴史も。)

@20090707火
○2限 政治学I 吉田学校。講和会議の後に一悶着あって夏目雅子が「今の父は……私、大嫌い!」という激萌えな場面まで。田中角栄のモノマネに徹しようと頑張る西郷輝彦。

○4限 西洋政治思想史特殊講義 『父と子』。復習テストの出題形式について説明すると若干のどよめきが。そんなに驚くような出題形式なんだろうか。

○5限 ゼミ 『オセロー』班。相互コメント重視の運営。

@20090708水 某会議。協議事項について原案が明示されないと会議は……。

@20090709木
○2限 政治思想史入門 課題図書の福沢諭吉「丁丑公論」について詳細な分析を実演。日本政治思想史の一次史料の解読を人前で披露するのはなんとなく生まれて初めての体験のような気が……。「序」「緒言」と朝日文庫版では63の段落に分けられた本文を腑分けし、論点ごとにまとめ、全体としてどういう議論が組み立てられているかを再構成。よみどころというか、山場はいくつかあって、丁丑の乱(西南戦争)に突入せざるをえなかった西郷の側の事情を分析した部分(第47~49段落)

右の如く亂の原因を枚擧して其原因は政府の方に在りと雖も余輩は西郷が事を擧たるを以て如何にも正理に適したるものと云ふに非ず盖し西郷は智力と腕力の中間に挾まり其心常に决せずして遂に腕力に制せられたる者と云ふ可し西郷の目を以て部下の者を見れば其屈強正直(せいちよく)の氣力愛す可しと雖も素より腕力の兵士なり之を誨へて老練沈着の人物たらしめんとするも一個の力に及ぶ可きに非ず去迚これを放て其行く所に任しなば舟にして楫(*原文「揖」)なきが如く蒸氣にして鑵なきが如く何等の變も計る可らず之を誨ゆ可らず之を放つ可らず、心事の進退爰に窮りて爲す所を知らず唯畢生の力を盡して維持の策を運らしたるのみ

即ち其初に佐賀の江藤を援けず後に萩熊本の暴發に與せず常に衆に諭して今は時節に非ず爰は塲所に非ず我將さに(*原文「將」のルビ「まさ」)我將さにとて之を籠絡したる由縁にして其兵士の處置に困却するの心は政府の顯官が之を憂るの心に異ならず此點に就て見れば西郷は少年の巨魁と爲りて得々たる者に非ず其實は之に窘くるしめられたる者と云ふ可きなり

嗚呼西郷をして少しく學問の思想を抱かしめ社會進歩の大勢を解して其力を地方の一偏(*ママ)に用ひ政權をば明に政府に歸して其行政に便利を與へ特り地方の治權を取て之を地方の人民に分與し深く腕力を藏めて引て放たず劍戟の鋒を變じて議論の鋒と爲し文を修め智を磨き、工を勤め業を勵まし隱然たる獨立の勢力を養生して他の魁を爲し而る後に彼民選議院をも設け立憲政体をも作り以て全日本國の面目を一新するの大目的を定めしめなば天下未曾聞(みそうもん)の美事と稱す可きなり(ここから抜粋、朝日文庫版だと199-200頁)

武装蜂起を望む「素より腕力の兵士」たる「部下の者」たち。だが西郷は「其初に佐賀の江藤を援けず後に萩熊本の暴發に與せず」相変わらず「今は時節に非ず爰は塲所に非ず」「われ将に、われ将に……」と「永遠の嘘」で「之を籠絡」しようと試みるが……。「いまはまだぼくたちは旅の途中だ」という西郷と、旅の終着点へ性急に突っ走る私学校党の若者たち。なんだか聴いていた「永遠の嘘をついてくれ」が「丁丑公論」にだぶってくる。こういう「魂の共鳴」は思想史研究にとって非常に危ういものなのだけれども、たとえば日本近代史における「永遠の嘘」の系譜というのは魅力的なテーマのような気がする。植木枝盛が「胸中に未来を抱く者、これを青年という」と述べた際の「未来」も「永遠の嘘」ってことではないかという気がするし(ということは「青年」とは「永遠の嘘をつく者」ということになるのだろうか)、丸山の有名な「戦後民主主義の虚妄」もそういうことになるだろうし。

西郷は、「専制の精神」を抑制する「抵抗の精神」において秀でていたけれど、「学問の思想」、特に「民会論」の教育的効果についての知識に欠けていたというのが福沢の議論のポイント。「民会論」の教育的効果というのは、第57・58段落にまとめられている。

……三五年以來世上に民會論の喋々たるものあれば政府は早く其勢に乘じて事の機を失ふことなく姑く此民會論を以て天下の公議輿論を視做し此公議輿論に從て士族の心を誘導すれば名義正しく、人心安く無聊の士族も始て少しく其力を伸ばすの地位を得て其心事の機を轉ずるを得可し政略の巧は此邊に在て存するものなり

民會の説或は今の實際に行はれ難き塲合もあらんと雖も結局其元素は推考の理論を先にして腕力を後にするものなれば今日に實效なきも今日に之を起して其旨を奬勵し以て後日の謀を爲すも妨なきは固より辯を俟たず斯の如くして政府は既に眞實民會を勸るの名を成したり尚其上にも學者なり新聞記者なり苟も世上に名望を得て有力なる者は悉皆これを政府の味方に引入れ益其發論の自由を許して著書發行を自在ならしめなば其の論鉾の向ふ所は必ず鹿兒島士族の腕力を頼て一方に割據するが如き者を攻めて遂には彼の頑士族の頑をも碎て不識不知の際に之を平和に導く可きは疑を容れず(同上、朝日文庫版だと205-206頁)

課題(要約と論評)についていえば、やはりこの「遂には彼の頑士族の頑をも碎て不識不知の際に之を平和に導く」議会主義という論点をひろえているかどうかということになるわけですが……。

朝日文庫版は「丁丑公論」「瘠我慢の説」についての萩原延壽と藤田省三の「演習」を中心に編まれていて、今後の教育業務の参考に……と思っていたわけですが、やっぱりひとそれぞれスタイルというか向き不向きがあるものですなあ。

来週は復習テスト。

○3限 日本政治思想史。竹内好、大河内一男、大塚久雄、丸山眞男と大ネタ。「もうちょっと簡潔にいうと、丸山眞男のいう「市民」って何なんでしょう」という質問を受けて返答に困る。それは共和主義的伝統の中で「市民」と考えられてきたものとは全く違うもので(間宮陽介さんはそう考えているかもしれませんが……)、短くいえば社会契約という政治的「作為」のコギト的主体という説明になるだろうかと思いつつも(でも、これではわからへんやろなあ……)、結局「簡潔にはいえないよ」というひどい答え方をしてしまう。

こちらも来週は復習テスト。

○7限 政治学演習II 『地方の王国』前半。前期分は来週で終わり。

暑くなってきましたなあ。なんだかもうくたくた。

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July 04, 2009

講義と演習@20090616_0702

MJ他界。ファンではなかったし、PVも、むしろアル・ヤンコビックによるパロディの方を楽しみにしていたぐらいなのですが(youtube: "beat it""eat it", "bad""fat")、なんだかよくわからないひとだったという記憶が。PVに関していっても、悪者というか、bad というか、つねに制度の他者を演じるものが多かったような……。みていていちばん混乱したのが、"Black or White"(youtube)。前半の、本当にどうでもいい展開のあと、"It's black, it's white, it's tough for them to get by"(「黒いとか白いとかいうことを、連中は容易に見過ごしてくれやしない」というぐらいの意味だと思う)なんて妙にシリアスな連呼から、当時ずいぶん話題になった、性別と人種を超えた入れ替わりの場面があって、最後のMJの奇妙なダンス・ソロへ……。えーと、ここはただ「MJのダンスってすげー」とか拍手しとけってことでは……たぶんないんですよね? 実際、このソロの部分って、あまり放映もされなかったような気が。

というわけで(?)MJ本人が何をやりたかったのか、誰か三行で解説してくれないだろうかとつくづく思う六月後半。

@20090616火
○2限 政治学I マスメディアと政治(二回目)動画資料前半。新聞報道が、どういう風に作られ、どういうものの、どのような影響を受けるのかということが非常によく分かる資料。教育効果タカス。

○4限 特殊講義 復習テスト。桃大生って、文字を書く身体的スピードが遅いような気がするのですが、こんなもんなんでしょうか。

○5限 ゼミ オセロー終盤。中島知子、大丈夫だろうか……。

@20090618木
○2限 政治思想史入門 動画資料(有名なアレです)で宮城事件前半。うまく遮光できず、プロジェクタの映りが今ひとつ。どうして桃の教室はカーテンでなく、ブラインドなんだろうか……。非常勤先に比べ、桃はAV機器の使い勝手が悪いような気が。

○3限 日本政治思想史 テキスト第6章 大正デモクラシー期の国内政治思想(「社会」問題の発生とマルクス主義の受容)と国際政治思想(アジア観の諸相)。前半では久しぶりにマルクスの話。議会主義への「方向転換」とはどういうことを意味するかについて、山川と福本。後半は主に石橋湛山の小日本主義の話。

○7限 政治学演習II TN君終盤。終了後、某くんの案内で学裏の焼き鳥屋へ。学裏もずいぶん様変わりしたのですね。十数年前に独身寮に住んでた頃に比べると、ずいぶん様子が変わっていました。

#週明けの第一次大戦班での報告の準備でへとへとに。スキデルスキー、もっと早く読んでおくべきでした。

@20090623火
○2限 政治学I マスメディアと政治(三回目)動画資料後半。どういうわけか、授業時間終了後、どっと学生が入ってくる。「何か行事がこの教室で予定されているのですか」ときくと「お弁当を食べたいから」と。しかし、なぜこの日に突然こういう事態に?

○4限 特殊講義 トクヴィル。individualism(individualization)の話を中心に。明治啓蒙におけるこの言葉の受容を念頭に置きつつ、「個人(化)」という言葉を「西洋近代」なるものの根幹と捉える傾向がある世代の社会科学者には見られるような気がするのですが、どうなんでしょうか、この言葉って、すぐれて19世紀以降の歴史的刻印を帯びているのではないかと思うのですが……というようなことを先日の研究会の質疑応答の際に。某せんせいは「倫理は(複数の主体の間に成り立つものだから――?)個人の存在を前提とする」とおっしゃったのですが、ぼく的には、個人の発生(個人化)は、歴史的にいえば、たぶん、ある種の既存の倫理の崩壊ということと結びついていると思っております。

○5限 ゼミ ヴェニスの商人についての個人報告。自分の進行の下手さ加減に嫌気がさす。

@20090625木
○2限 政治思想史入門 動画資料で宮城事件後半。次週は丸山の「超国家主義の論理と心理」の話をする予定ですが、非常によいイントロダクションになってしまったような気が……。

○3限 日本政治思想史 総力戦下の政治思想①「東亜協同体」の虚実 日本風リージョナリズム。蝋山政道と尾崎秀実。

○7限 諸々の事情で休講。次週は『三酔人』。

@20090630火
○2限 政治学I 戦後日本外交(全三回)。補講は7月15日(水)の9・10限(16:25-17:55)にケテーイ。

○4限 特殊講義 ニーチェ。人数が多いせいか、どのぐらい話が伝わったか手ごたえがつかみにくい。

5限のゼミは、法学会講演会を優先し、休講。雑用を済ませ、念願の床屋へ。ひと仕事終えてから……とかいっているうちに約三ヶ月が過ぎてしまいました。今年度に入ってついにというか、ようやく白髪が。父親は50歳で真っ白でしたが、ぼくは白くなるんだろうか、母親のように不思議な天然パーマが出てくるんだろうか、あるいは祖父のように薄くなるんだろうか……。

仕事のBGMにちょうどいい感じの曲がかかったので、理容師の方に曲名をおしえてもらう。「なんかあの、シャカタクの「ナイト・バーズ」みたいな感じで、ちょっとワンパターンなピアノの旋律が繰り返し出てくるやつ」というこちらのひどい説明に、「ひょっとしてこれですか」と教えていただいたのが Daishi Dance の "the P.I.A.N.O.set"。これが曲名なのかアルバム名なのかわかりませんでしたが、確かにこんな感じ(youtube)でした(Shakatak の "Night Birds" youtube とは……あまりというか全然似てへんがな……orz)。こういうのを「哀愁ハウス」というのですか。一時、メロコアとかスカコアとかスラッシュメタルとかデスメタルとか音楽につく形容詞の複合化に悩まされましたが、これも再帰的近代化の帰結なんでしょうか。(早速購入して聴きましたが、いいですね、Daishi Dance。これからはカレーとコーヒーだけでなく、音楽もハウスにしたいと思います(誤)。

@20090701水
○専攻長会議 うーん。

人も予算も減っていく一方の中で、長年の間ぱっとしなかった研究組織が、ある日突然、国際的な研究機関として脚光を浴びるような成果を次から次へと……なんて可能性を、ひとはどのぐらい信じれるものなのでしょうか。

@20090702木
○2限 政治思想史入門 戦後、丸山、竹内、伊丹、花田、鶴見、中井。

○3限 日本政治思想史 総力戦下の政治思想②戦時下の自由主義、石橋湛山と河合栄治郎。

○7限 政治学演習II 『三酔人』の後、図書館実習。次回は高畠通敏『地方の王国』の新潟三区のところを読みます。後期のゼミ論の中心メンバーになってくれそうな受講生にとって『三酔人』はあまり面白くなかったようですが、今度はたぶんきっと面白いと……思うんですが、面白くなかったらどうしようか。

二つ仕事を済ませてほっとしていたところに催促メール三件。小ネタばかりとはいえ、まだまだ戦いは続く。

あらら、原さん、「教養の道」をたたんでしまわれるのね。なんとも残念。

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