講義と演習@20090707_0709
戦後思想を考える上で不可欠の存在(てゆーか、実はそれほど重要な歌詞は書いてないような気も……)吉田拓郎の体調不良のニュースを耳にしながら、「そういえば中島みゆきとの「永遠の嘘をついてくれ」(youtube)は非常によかったなあ」とか思うともう関心は中島みゆきの方に向かっていて、甲斐よしひろとの「港からやってきた女」(youtube)とか加藤登紀子との「この空を飛べたら」(youtube)は忘れられないし、神話化されているオールナイト・ニッポン以前の毎日放送「ミュージック・マガジン」のテーマ曲だった「夜風の中から」(youtube)とか最終回の最後にかかった「ほうせんか」(youtube)はいかにも中島みゆきという感じだし、あまりにも有名な「時代」(youtube)とかミュージック・マガジンの裏番組(「金」曜日「八」時からの一時間だったと思う)で使われた「世情」(youtube)とか、「ファイト」(youtube)とか「狼になりたい」(youtube)も悪くないのだけれど、季節的には、そろそろ「帰省」(youtube)とか「まつりばやし」(youtube)が聴きたくなる頃とはいえ、「店の名はライフ」(youtube)とか「遍路」(youtube)もいいよなあと時間を潰してしまう七月上旬。(中二男子の頃に聴いて以来、長らく遠ざかっていたような気もするが、いずれアルバムを大人買いしてちゃんと全曲を通しで聴いてみたい。でも、中二男子時代には、似たような歌詞でも、たしか「ホームにて」(youtube)よりも、モッズの「トゥー・パンクス」(youtube 肝心の部分に入る前に終わってますが……)の方がかっこいいとか思ってたという黒歴史も。)
@20090707火
○2限 政治学I 吉田学校。講和会議の後に一悶着あって夏目雅子が「今の父は……私、大嫌い!」という激萌えな場面まで。田中角栄のモノマネに徹しようと頑張る西郷輝彦。
○4限 西洋政治思想史特殊講義 『父と子』。復習テストの出題形式について説明すると若干のどよめきが。そんなに驚くような出題形式なんだろうか。
○5限 ゼミ 『オセロー』班。相互コメント重視の運営。
@20090708水 某会議。協議事項について原案が明示されないと会議は……。
@20090709木
○2限 政治思想史入門 課題図書の福沢諭吉「丁丑公論」について詳細な分析を実演。日本政治思想史の一次史料の解読を人前で披露するのはなんとなく生まれて初めての体験のような気が……。「序」「緒言」と朝日文庫版では63の段落に分けられた本文を腑分けし、論点ごとにまとめ、全体としてどういう議論が組み立てられているかを再構成。よみどころというか、山場はいくつかあって、丁丑の乱(西南戦争)に突入せざるをえなかった西郷の側の事情を分析した部分(第47~49段落)
右の如く亂の原因を枚擧して其原因は政府の方に在りと雖も余輩は西郷が事を擧たるを以て如何にも正理に適したるものと云ふに非ず盖し西郷は智力と腕力の中間に挾まり其心常に决せずして遂に腕力に制せられたる者と云ふ可し西郷の目を以て部下の者を見れば其屈強正直(せいちよく)の氣力愛す可しと雖も素より腕力の兵士なり之を誨へて老練沈着の人物たらしめんとするも一個の力に及ぶ可きに非ず去迚これを放て其行く所に任しなば舟にして楫(*原文「揖」)なきが如く蒸氣にして鑵なきが如く何等の變も計る可らず之を誨ゆ可らず之を放つ可らず、心事の進退爰に窮りて爲す所を知らず唯畢生の力を盡して維持の策を運らしたるのみ武装蜂起を望む「素より腕力の兵士」たる「部下の者」たち。だが西郷は「其初に佐賀の江藤を援けず後に萩熊本の暴發に與せず」相変わらず「今は時節に非ず爰は塲所に非ず」「われ将に、われ将に……」と「永遠の嘘」で「之を籠絡」しようと試みるが……。「いまはまだぼくたちは旅の途中だ」という西郷と、旅の終着点へ性急に突っ走る私学校党の若者たち。なんだか聴いていた「永遠の嘘をついてくれ」が「丁丑公論」にだぶってくる。こういう「魂の共鳴」は思想史研究にとって非常に危ういものなのだけれども、たとえば日本近代史における「永遠の嘘」の系譜というのは魅力的なテーマのような気がする。植木枝盛が「胸中に未来を抱く者、これを青年という」と述べた際の「未来」も「永遠の嘘」ってことではないかという気がするし(ということは「青年」とは「永遠の嘘をつく者」ということになるのだろうか)、丸山の有名な「戦後民主主義の虚妄」もそういうことになるだろうし。即ち其初に佐賀の江藤を援けず後に萩熊本の暴發に與せず常に衆に諭して今は時節に非ず爰は塲所に非ず我將さに(*原文「將」のルビ「まさ」)我將さにとて之を籠絡したる由縁にして其兵士の處置に困却するの心は政府の顯官が之を憂るの心に異ならず此點に就て見れば西郷は少年の巨魁と爲りて得々たる者に非ず其實は之に窘くるしめられたる者と云ふ可きなり
嗚呼西郷をして少しく學問の思想を抱かしめ社會進歩の大勢を解して其力を地方の一偏(*ママ)に用ひ政權をば明に政府に歸して其行政に便利を與へ特り地方の治權を取て之を地方の人民に分與し深く腕力を藏めて引て放たず劍戟の鋒を變じて議論の鋒と爲し文を修め智を磨き、工を勤め業を勵まし隱然たる獨立の勢力を養生して他の魁を爲し而る後に彼民選議院をも設け立憲政体をも作り以て全日本國の面目を一新するの大目的を定めしめなば天下未曾聞(みそうもん)の美事と稱す可きなり(ここから抜粋、朝日文庫版だと199-200頁)
西郷は、「専制の精神」を抑制する「抵抗の精神」において秀でていたけれど、「学問の思想」、特に「民会論」の教育的効果についての知識に欠けていたというのが福沢の議論のポイント。「民会論」の教育的効果というのは、第57・58段落にまとめられている。
……三五年以來世上に民會論の喋々たるものあれば政府は早く其勢に乘じて事の機を失ふことなく姑く此民會論を以て天下の公議輿論を視做し此公議輿論に從て士族の心を誘導すれば名義正しく、人心安く無聊の士族も始て少しく其力を伸ばすの地位を得て其心事の機を轉ずるを得可し政略の巧は此邊に在て存するものなり課題(要約と論評)についていえば、やはりこの「遂には彼の頑士族の頑をも碎て不識不知の際に之を平和に導く」議会主義という論点をひろえているかどうかということになるわけですが……。民會の説或は今の實際に行はれ難き塲合もあらんと雖も結局其元素は推考の理論を先にして腕力を後にするものなれば今日に實效なきも今日に之を起して其旨を奬勵し以て後日の謀を爲すも妨なきは固より辯を俟たず斯の如くして政府は既に眞實民會を勸るの名を成したり尚其上にも學者なり新聞記者なり苟も世上に名望を得て有力なる者は悉皆これを政府の味方に引入れ益其發論の自由を許して著書發行を自在ならしめなば其の論鉾の向ふ所は必ず鹿兒島士族の腕力を頼て一方に割據するが如き者を攻めて遂には彼の頑士族の頑をも碎て不識不知の際に之を平和に導く可きは疑を容れず(同上、朝日文庫版だと205-206頁)
朝日文庫版は「丁丑公論」「瘠我慢の説」についての萩原延壽と藤田省三の「演習」を中心に編まれていて、今後の教育業務の参考に……と思っていたわけですが、やっぱりひとそれぞれスタイルというか向き不向きがあるものですなあ。
来週は復習テスト。
○3限 日本政治思想史。竹内好、大河内一男、大塚久雄、丸山眞男と大ネタ。「もうちょっと簡潔にいうと、丸山眞男のいう「市民」って何なんでしょう」という質問を受けて返答に困る。それは共和主義的伝統の中で「市民」と考えられてきたものとは全く違うもので(間宮陽介さんはそう考えているかもしれませんが……)、短くいえば社会契約という政治的「作為」のコギト的主体という説明になるだろうかと思いつつも(でも、これではわからへんやろなあ……)、結局「簡潔にはいえないよ」というひどい答え方をしてしまう。
こちらも来週は復習テスト。
○7限 政治学演習II 『地方の王国』前半。前期分は来週で終わり。
暑くなってきましたなあ。なんだかもうくたくた。


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