Tuesday, May 05, 2009

キヨシロー

帰省先で忌野清志郎が亡くなったことを知った。熱狂的なファンではなかったけれど、ぼくもRCサクセション世代だと思う。小学校高学年から中学生にかけて、テレビでRCとかシーナ&ザ・ロケッツとか甲斐バンドとかのライブを見て、あーこれがロックなんだとはじめて知った世代である(というようなくくり方ができるのかどうかは不明だが)。

金八とかザ・ベストテンが流行っていた頃、クラスメートどもはデビューしたばかりのサザンとかツイストを、ちょっとませた同級生はアリスとかオフコースを聴いていた。大人の恋愛をうたった歌詞はなんだかよくわからなかったし、ちょうど対人関係に悩みはじめた頃だったので、アリスの「信じあえば必ずうまくいく」的世界も嫌だった。

そういう、ちょっと対人関係に悩んだりし始めた中二男子の魂に、妙にしっくりきたのがRCの『トランジスタラジオ』(youtube)だった。夜遅く、学習塾の帰りに、買い食いに寄った駄菓子屋のラジオで聴いて、妙に印象に残った。諸々のもやもやでいっぱいいっぱいの田舎の中二男子は、ラジオで音楽を聴くことで得られる魂の自由を知った。いまでも自由について考えるときの原点は『トランジスタラジオ』であり、この自由はバーリンの消極的な自由概念では説明がつかないと思う。

ラジオをつけっぱなしにすることで(『トランジスタラジオ』はあまりかからなかったけれど)世界はずいぶんと広がった。『雨上がり……』とか『よぉーこそ』とか『スロー・バラード』とか『上を向いて歩こう』とかも嫌いではないし、『君が僕を知ってる』(youtube)とかは今でもときどき聴くけれど、キヨシロー(こういう書き方をするひとが昔の音楽雑誌では多かったような気がする)の声が頭に焼きついたのは『トランジスタラジオ』だった。

中二男子は、洋楽を聴き始めつつ、日本のロックってなんだろとかいうようないかにもその年齢の頃に考えそうなことを考えつつ、とりあえず、よくわからない大人の恋愛の世界とか、あとアイドル系を除いて、魂が共鳴するようなものあれこれと聴き始めた。RC以外でえらく気に入ったのは甲斐バンドだったのだが、これは甲斐よしひろがDJ――といってもラジオの音楽番組で曲と曲の間を話芸でもたせるだけで、ターンテーブルで器用なことをするわけではない――を長らくやっていた某番組(『サウンドストリート』)を熱心に聴いていたから。その中二男子にとって、DJの甲斐よしひろ(とか、あと渋谷陽一とか中島みゆきとか)は、はじめて出会った魅力的な大人であった。恥ずかしい過去になるが『荒馬のように』は当然発売と同時に買って繰り返し読み、啓蒙のために、学級文庫の『成り上がり』の横にこっそり置いて顰蹙を買った記憶がある。

その後、中二男子は洋楽ばっかりを聴くようになり(なんというか、音楽に乗っかっている日本語から滲み出る演歌的な〈実感信仰〉が嫌で仕方ない独特の時期というのが青年時代にはあるのではないだろうか。はっぴいえんどの『はいからはくち』とか〈実感信仰〉を巧みにそぎ落とした純粋な感じのものは好きだったんでつが……)、ツェッペリンとストーンズばっかりの毎日になり、そうするととうぜんRCも「あんなのストーンズの物まねやん」的な嫌悪の対象になり、聴かなくなってしまった。後期の作品で記憶に残っているのは、『サマー・ツアー』(youtube)ぐらいだろうか。

なお、かつてRCがどういう扱いだったかといえば、間違いなくこういう感じ(youtube)であった。

その間も、実は中二男子は(既に高校に入ってましたが……)諦めることなく甲斐よしひろの復活を待望していた。『サウンドストリート』の最終回の最後に甲斐よしひろが「もう一度会える日がいつになるかわからないけど、そんときにどっちがいい大人になってるか勝負だ」いうようなことを言ったことが強烈に印象に残っていて、以来、あのひとは今度はどう復活して、どんなものをつくるんだろうかと気になっていた。しかしゴドーはいつまでたってもやってこない。その後いろいろあって、割と熱心にフォローしてた分、失望も大きく、まあそんなもんだろというありがちの諦め方をしたように思う(しかし、中二男子はどういう希望を持っていたのだろう。中二男子が感じた魂の共鳴を、いつになっても与えてくれるような「理想の大人」のようなものを、だろうか……)。

しかし、その後、「中二男子との〈いい大人〉になる競争」で理想的なレースを展開してるなあと思ったひとがいる。それが(たぶん子供が生まれてからの)キヨシローであった。いろんなバンドでうたってたので、細かいことはわからないが、記憶に残っているものとしては、カヴァーだけれど、『サン・トワ・マミー』(youtube)とか『デイドリーム・ビリーバー』(youtube、母親との死別をきっかけに、自分がそれまで、ぼーっとしていて、なんにもわかっていないやつ――daydream believer――だったことを痛感するといううたなんだと思う)。『パパの歌』(youtube)とか『日本の人』(youtube)にもびっくりした。あと卒業して入院してからは、『世間知らず』(youtube)をよく聴いた。

小学校高学年ぐらいから現在まで好んで接し続け、その変化(〈いい大人〉になる競争?)を肯定的に受け容れることができている同時代の何かとして、ぼくにとっては唯一のものであった。手元にあるいちばん最近の作品は『JUMP』(youtube)のシングル(名曲「楽にいこうぜ」が収録されているやつ)なので、細かいことをいえば、ぼくの中ではまだ2004年でとまっているのだけれど、2009年5月2日をもってキヨシローの変化を同時代人としてみることができなくなったことはとても悲しい。〈いい大人〉について考えるときの最高のお手本がなくなってしまった。

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追記 ぼくの記憶に残っているのは既に書いたとおりの10曲なんだけども(『トランジスタラジオ』『君が僕を知ってる』『サマー・ツアー』『サン・トワ・マミー』『デイドリーム・ビリーバー』『パパの歌』『日本の人』『世間知らず』『JUMP』『楽にいこうぜ』)、よく知っている人がセレクションをちゃんと作ってくれているようです。

たとえば権威のありそうなものとしては、FM802が選んだ「忌野清志郎の重要な十四曲」(公式

・ぼくの好きな先生 / RCサクセション(72)
・雨あがりの夜空に / RCサクセション(80)
・WATTATA(河を渡った) / 忌野清志郎(87)
・いい事ばかりはありゃしない / RCサクセション(80)
・パパの歌 / 忌野清志郎(91)
・空がまた暗くなる / RCサクセション(90)
・田舎へ行こう!Going Up The Country / 忌野清志郎(99)
・スローバラード / RCサクセション(76)
・い・け・な・い ルージュ・マジック / 忌野清志郎+坂本龍一(82)
・トランジスタ・ラジオ / RCサクセション(80)
・JUMP / 忌野清志郎(04)
・Baby 何もかも / 忌野清志郎(03)
・デイ・ドリーム・ビリーバー / THE TIMERS(89)
・激しい雨 / 忌野清志郎(06)

うーん、たぶん網羅的なんだろうけど……。しかしなんというか、選んだひとがこの十年とか二十年とか三十年をキヨシローとどう過ごしてきたか、全然みえないというか、まあみえなくていいんでしょうが、コメントかいてるひとの中には、ほんとにお仕事で書いているんだろうなとしか思えないものもあって、なんでボツにしないんだろとか、熱狂的なファンでないぼくでも思うんですが……。

ぼく自身がまだ十四曲も選んでないんですが、「忌野清志郎の重要な十四曲」バトン、どなたか受けとってもらえんでしょうか。

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Saturday, November 04, 2006

behind blue eyes

本棚をひっくり返していたら、ザ・フーのトリビュート・アルバム Substitute: The Songs of the Who が出てくる。たしか購入して聴いた際にはほとんど印象に残らなかったのだが、聴き直してみるとシェリル・クロウのうたう "Behind Blue Eyes" がなんだかとってもいい。このうたは、高校生の頃、某FM番組で忌野清志郎が「最新のヒット曲」(Who's Next は1971年のアルバムなので無論ウソ)として紹介したのを聴いて知った。当時、ピート・タウンゼントの英語の歌詞がさっぱりわからず、とりあえずロックの歌詞を読んで理解できるぐらいの読解力を身につけることを英語学習の第一の目標にしたような記憶がある。

何というか、とにかく当時はこのうたを聴いてネイティヴの人がどういうことを連想するのかよく分からなかったのだが、リンプ・ビズキットがうたうPVを観て(というかこのうたをうたうリンプの顔を見て)なんとなく雰囲気がわかったような気がしたので、久しぶりに歌詞を確認。(参考までに youtube で "behind blue eyes" とある動画をいろいろ観てみたのだが、雰囲気はたぶんこんな感じなんだと思う。アスカ・ラングレーとかが出てきたところをみると、エヴァ世代の心の歌になっているのかもしれない。)

おそらく "behind blue eyes" は「青い瞳の裏側に」と訳す方がリアルなんだろうなあ。

誰も知るまい、
青い瞳の裏側に、どうしようもない悪さと、
どうしようもない悲しさを抱えていることが、
そいつにどんな人生を強いるかってことを。

誰も知るまい、
ひとに嫌われ、
偽りばかりを口にするように運命づけられた奴が、
どんな人生をおくるかってことを。

しかし、たしかにおれの良心は空っぽのようだが、
おれの夢はそこまで空虚じゃない。

ずいぶん長い時間を、ひとりぼっちで過ごしてしまった。
おれにとって、愛は呪いだ、
だって、そこにはひとかけらの自由もない。

誰も知るまい、
おれがいま感じているような、
そう、この気持ちがどういうものかってことを。
だからおれは、おまえのことをはげしく憎む。

おれの痛みと悲しみが流れ出るのをやめるまで、
じっと我慢してくれるような寛大な奴などいないってことは
わかってるつもりなのだけれど(※)。

おれが拳を握りしめていたら、
それを無理矢理にでも開いてくれ、
おれがそいつを振り上げて、暴れ出す前に。

おれが嬉しげな顔をしていたら、
おれががっかりするようなことを話しかけてくれ、
おれが愚者のように醜く笑い転げる前に。

おれがヤバいものを呑み込みそうになったら、
指をおれの喉に突っ込んでくれ。

おれがぶるぶる震えていたら、
おれに毛布をかけてくれ。
暖をくれ、おまえのコートを着せてくれ。

(The Who, "Behind Blue Eyes," 1971.)
(※)実は、この部分がいまだによく分からない。

No one bites back as hard On their anger
None of my pain and woe
Can show through

おそらく "as hard" の "as" を "none of ..." が説明しているんだろうと解釈したわけだが、よーわからん。また十年後ぐらいに考えてみよう。

というわけで、しばらくはシェリル・クロウ萌えということで。ポイントはずしてますかそうですか。

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Sunday, September 17, 2006

夏の終わりとトミー・コンウェル

おれは17歳、だからおれはクール。
おれは17歳、だからルールなんてまもらない。
おれは17歳、だから気にしない。
だって、これからどうするかなんて考えてないから。
おれは17歳、だからおれはだらしがない。
おれは17歳、だからおれには干渉するな。
おれは17歳、だから関係ない。
おれは17歳、だからおまえがきらいだ。

おれは17歳、だからじぶんのことはじぶんでやれる。おれはだれをも必要としてない。
おれは17歳、わかってるさ、いまのおれの気分はおまえにはわかりっこない。
Tommy Conwell & The Young Rumblers, "I'm Seventeen," Guitar Trouble.

夏の終わりといえば、残暑と夕日を楽しみながら、イーグルスの「ホテ・キャル」を聴いてバドワイザーを飲むというベタな過ごし方を数年来続けてきたのだが、今年は何だか涼しいし、適当な夕日に出くわす機会がない。

思いついたように、中古CD屋で見つけた Tommy Conwell & The Young Rumblers, Guitar Trouble を聴く(日本版は結局出なかったという噂だが……)。二通りの "I'm Seventeen" が収録されていて、大昔にMTVで見たのは、Bruce Hornsby が参加している方。そうでないシンプルな方には "Part II" という副題が付いている。

聴き比べると、"Part II" の方が、17歳の若造がバドを飲みながら "an sich" な俺様モードになっているという雰囲気なのに対し、Bruce Hornsby が参加している方は、中年男がさして美味くもないバドを飲みながら17歳の頃の俺様モードを想い出しているという感じ。

Bruce Hornsby すげー。

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Monday, August 07, 2006

iPod 30G

shuffle では物足りなくなってきたので、茄子で iPod 30G(第五世代)を購入。最近の心の友。

でかいし、重いし、なんだか落とすと壊れそう。クリックホイールになかなかなじめない。あと、きれいなディスプレイに傷が付いたらショックだろうなあ。

とはいえ、ビデオが見れるのはうれしい。ちょっとした空き時間にGorillazとかDaft Punkとか、いろんなPVを見たりできるのだ。

とりあえず、ミュージックビデオのプレイリストを作ってみる。

001. Devo, "Satisfaction"
002. Sex Pistols, "My Way"
003. Daft Punk, "One More Time"
004. Jamiroquai, "Virtual Insanity"
005. New Radicals, "You Get What You Give"
006. R.E.M., "Imitation of Life"
007. Santana, "Just Feel Better"
008. Buggles, "Video Killed the Radio Star"
009. Strawberry Switchblade, "Since Yesterday"
010. Gorillaz, "19-2000"

(四択問題)002で、口をひん曲げて「マイウェイ」を歌って、最後に拳銃を客席に向けてぶっぱなしたのは誰でしょう(ヒント:ゲイリー・オールドマンが下手なものまねをやったことがある)。
a. シド・バレット
b. シド・ヴィシャス
c. シドー・ナカムラ
d. シシド・ジョー

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Tuesday, March 28, 2006

Van Halen, THE BEST OF BOTH WORLDS

"BOTH WORLDS" というのは、デイヴ・リー・ロスのいた時代とサミー・ヘイガーがいた時代を指しているらしい。ということは誰が外れたかというと……。

http://wmg.jp/artist/vanhalen/WPCR000013006.html (試聴可)

いやまあ、いいんですなあ、これが。

但し、「パナマ」のサミー版(ライブ)は今ひとつ。やはりこれはデイヴの芸が最も光る曲だと思う。

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Friday, January 27, 2006

santana 2005

某監督業務の後、夕方六時になると頭痛と悪寒に悩まされ、慌ててかぜ薬を飲んで寝るという作業を数日繰り返す。どうやらインフルエンザではないようなので一安心。

レポートの採点業務のお供に Yahoo! Music (http://music.yahoo.com/) で PV をかけっぱなしにする。santana の "just feel better" (featuring STEVEN TYLER) と "i'm feeling you" (featuring Michelle Branch & the Wreckers) が気に入ったのだが、iTMS では買えないので、タワレコまで足を運びall that i am を購入。

SANTANA: http://music.yahoo.com/ar-263674---Santana

サンタナもスティーヴン・タイラーも結構なオッサンなのだが、二人のオッサンの自己主張がいい塩梅でかぶるところが何とも心地よい。ミシェル・ブランチも何だかいい感じに肥えてきたなあと。

ついでに話題のものやら、懐かしいものやら

Franz Ferdinand, "Do You Want To"
http://music.yahoo.com/ar-304177---Franz-Ferdinand

Faster Pussycat, "You're So Vain"
http://music.yahoo.com/ar-314710---Faster-Pussycat

大人の事情があるのか、iTMS の曲がなかなか増えない。とりあえず大木こだまひびきの『チ』を購入(200円)。"no meaning but fine word, as you like チッチキチー"ということだが……。

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